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子どもの泣き声診断

執筆者の写真: Shinichi ShimaderaShinichi Shimadera

「ここは子どもが泣かないクリニックですね。」そう言われたことはあるが、さすがにそれは言い過ぎかもしれない。毎日あちこちで子どもが泣いている。

 初めて来るクリニック、知らない人がたくさんいる環境、物々しい雰囲気、そもそも病院が嫌いな「泣き」のほかに、傷の痛み、注射後の痛みなど本当に痛い理由がある「泣き」まで様々子どもが泣く原因はあると思われる。それらの診察室の中に聞こえてくる「泣き」を聞き分けて、待合室での出来事、とくにリスクが起きてないかどうかを想像する。それがリスクマネージメントには大切だと思う。

 泣き声だけで判断することはハイレベルだと言われるかもしれないが、「泣き」は子どもが発するシグナルであるから、それを聞き分けるのは大人としては当然だと思う。

 診察室のナースに「誰が泣いているの?」と尋ねる毎日だが、「これは〇〇さんのいつもの〇〇です」とか、「この泣き声は甘え泣きです」とかならまだしも、「この声はヤバいです」をいの一番に察知してファーストタッチしてトリアージすることができれば、これが小児科においての本当の「院内トリアージ」だと思われる。

 「院内トリアージ実施料」これはコロナ診療が始まって拡大適用されるようになったが、発熱外来でコロナ疑いの方を診察する時に防護服などの感染対策をすることで算定出来るとされるが、そもそもの院内トリアージとは、「患者の来院後速やかに患者の状態を評価し、患者の緊急度区分に応じて診療の優先順位付けを行う院内トリアージを実施すること」と明示されている。まさに当院の目指す「泣き声診断」と同じではないか。今は赤エリアの発熱外来の患者さんにのみ算定している院内トリアージ実施料であるが、そういう意味では小児科の全患者に認められてもいいのではないかと思う。ただし、正しく泣き声診断が出来るクリニック限定、しかも上限は泣く年齢まで。そんな不確定なものはきっと認められないだろう。

「ゴッドハンドは必要ない。誰でも出来る診療が標準になる。」一見当たり前のようなことを昔教えられた気がする。でも患者さんはやっぱりゴッドハンドを求めて来られている気がする。日々精進、そんな思いで毎日診療しています。

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