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久々にAライン取りました

執筆者の写真: Shinichi ShimaderaShinichi Shimadera

昨日いつも行ってるK病院の当直中に集中治療室(ICU)からコールがあり、Aラインが詰まったので取り直して下さいという依頼を受けた。

総合病院での当直中は色んな相談を受ける。時にはお亡くなりになる方の看取り、時には救急外来の診察、状態急変時の対応、主治医、家族さんとの交渉、など。私は専門は小児外科ですが、当直中はほとんどが小児以外の対応に追われる。もちろん当直とは寝てはいけないわけではないので、コールとコールの間は寝て過ごす。当直用の携帯で目を覚ますのはお手のもの。どちらかと言えば職業病となっている。家でも子供の泣き声では一切起きないのに、携帯を鳴らすとバイブでも起きるので、たまに家内が冗談をして携帯を鳴らして、寝てる私が起きるかどうかを試す。

話を本題に戻して、昨日のAラインはかなり手こずった。Aラインとは動脈持続点滴のことで、それが有ればモニター画面と繋いで血圧の持続管理と随時の採血が出来るため、重症管理のICUでは必須のものとなる。昨日の患者さんは人工呼吸器、点滴が2種類(手の点滴と首から心臓近くの静脈まで入れる中心静脈点滴)、心電図、酸素飽和度モニター、尿道カテーテルとほぼフルコースの管理がなされていた。重症管理ではあったが、それでも状態が安定していれば、主治医は夜は家に帰り、当直医が何か有れば対応する。それが病院というものである。

Aラインを入れ直す、それは実はそう簡単なことではない。その患者さんは鎮静剤で眠り、体を自由に動かせない状態が数日続いていた。ご存知の方もあると思うが、人間は体を動かさないと手足はむくんでくる。Aラインを取るとは動脈を点滴の針を入れるということで、皮膚表面に出ている動脈は両手首と両足首の合計4箇所であるが、そのうち一箇所に入っていたラインが詰まって抜けているので、残りは3箇所。何度か刺してみたが、むくみのため上手くいかない。というより、動脈が触れない。一般的な点滴は静脈に刺すわけで、駆血帯というゴムでしばって浮いてくる血管(静脈)に刺すのだが、動脈は縛っても浮いてこない。要するに指で動脈を触れながら針を進めていくしかない。

「触れにくいね」というと、ナースはここに触れますと返答。ここは意地でもやるしかない。

1回、2回、3回、、、普通なら手を代わった(刺す人を変える)方がいい段階だが、当直は私一人。何とか工夫して頑張るしかない。よく見ると刺し痕が沢山ある。先人も幾度とトライしたことは察しがついた。

20-30分粘ってようやく入った。5年振りの動脈ライン確保であった。

医学が進歩して重症管理のための道具も様々進化進歩を遂げているが、所詮行為をするのは人間なので、いつも100%上手くいくとは限らない。特に夜間は人手も少ない。

当直明けで外来をこなし、ようやく勤務が終わり自宅への帰路についた。

私は医療が好きなので必要とされている所に出向いて働くことは苦ではないが、願わくば私の持てる技術の全てを早く関市の方に注ぎたいと思う今日この頃である。



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