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よくしゃべる小児科医

執筆者の写真: Shinichi ShimaderaShinichi Shimadera

これは私のことではない。私の大学時代の同級生で、今回の開業を強く支持してくれた小児科医のことである。彼は7年前に開業し、コンサルタントを紹介してくれたり、病児保育を始めるに当たって当院保育士の研修を受け入れてくれたり、時には経営の相談にも乗ってくれたりと、本当に細やかな気遣いをしてくれる小児科医である。

夜22:00まで診療していると噂では聞いていたが、その理由はよく話すからだとか。次の人が待っているからと話を途中で切り上げるのが彼にとっては一番辛いらしく、そのせいで診療はいつも超過。それでも患者はついてきてくれて、野洲市随一の小児科クリニックとなっている。

実際にクリニックの見学に行った時に気づいたことは、本当によく喋るにも関わらず、一切マスクのズレを直さないことである。それはズレても直さないのではなく、全くズレないのである。これはいわば究極の感染対策である。私もそうだがコロナ禍で習得したことはマスクをズラさずに話す技術である。顎の使い方をマスターすれば、永遠にズレないし、直す必要もない。朝着けたマスクの外側を一切触らずに使用後には捨てる。これが最も安心感がある。


実はこのコロナ禍でマスクマスクと言った割にはマスクの直し方を取り上げた番組は見たことがない。国会中継を見ていても、街中のインタビューを見ていても、マスクのズレを直す風景は幾度となく登場するが、正しくマスクを直せる人はほとんどいない。十中八九マスクの前を摘んで上げる。その時点で必ず手指消毒するならば話は別だが、その行為を怠るならばマスクの外側は菌だらけなので絶対に触れてはいけない。いっそのこと、マスクを外したほうがいい。

そう、マスクは正しく着けないと意味がないどころか感染を広げてしまう。今年5月に政府からマスク着用が任意となった時点で、鼻出しでも、アゴマスクでも、マスクの外を触ろうが何しようが、政府としてはどうでも良いということかもしれないが、正しいマスク着用は本当に大事である。

それにしては今岐阜はアデノウイルスが蔓延しておりプール熱警報レベルと言われているが、これはマスクを外したせいばかりではない。社会活動が活発化して免疫力の低い子供が次々と罹患しているだけである。この3年間の自粛生活が仇となっていると私は理解している。子供は風(風邪)の子だから色んな菌にまみれて抵抗力を付けるはずが、自粛生活で免疫力が激減し、その煽りが今まとめてやって来ただけである。

思い返せばコロナは元々子供にはうつらないウイルスであったから、マスクを強要したり、休校やステイホームの必要はなかったのだが、あの時はその決断が出来なかった。

安倍総理が当時一斉休校の指示を出した時、小池都知事は「ようやく宣言して下さいました」と讃えたが、それは今となっては誤りであったとは誰も言ってくれない。

話は逸れたが、とにかく抵抗力をつけるには大人も子供もマスクは外さなければならない。人間は感染症を避けては通れない訳だから。マスクは着けるなら正しく、症状のある人だけ着ける、口と鼻は常に覆い、外側は触らない。元気な人は外す。そういう元の生活に早く戻したいものである。

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