この質問は今まで何度も聞いた。おそらく小児外科はまだまだマイナーなのだろう。斉藤工主演の「最上の命医」、山崎賢人主演の「グッドドクター」は小児外科医を扱ったドラマであるが、知名度はどうだろうか。
医者になってから早くも25年以上経過する。思えば自分が何故小児外科を目指したのか不思議でならない。医学部卒業の時は、小児外科を目指しますと言えば、お前は奇特な奴だと言われた。それからどうしても東京での3年間の認定医コースを取りたくて、3回ほど国立小児病院の門を叩き、飲み会にも参加し、直談判でレジデント枠を確保した。そこで最初に言われたのは、点滴、採血は教えないから、という厳しい一言でした。それもそのはず、上の先生方は手術に専念しているので、朝からの病棟患者の採血、点滴は下っ端の者たち、と言っても二人しかいない仲間でこなさないといけなかった。
大人と違って子供は看護師さんは採血、点滴をしない。ある程度の時間は患者さんを抑えてくれるのだけど、うまくいかないとイライラされる。患者さんは全員子供、言うことなんて聞かなくて当たり前。そんな中で自分のスキルはどんどん上がり、もう一人の仲間のカバーまでするようになったから、点滴、採血は得意になった。
小児外科って何ができるの?と言う質問に対して、「割と医療行為は何でもできます。点滴、採血から、縫合や救命処置まで」と答えると、何この先生という顔を最初はされるが、一年も経てば、「あ、先生ちょっと見てください。」と引く手数多になることは多かった気がする。便利屋と言えばそれまでだが、相手が子供なら何をお願いされても楽しい。それは事実である。
ふとある時、小児外科の上司に言われた。点滴、採血が上手くない奴は手術も下手である、と。
今クリニックでは小児科8の小児外科2くらいの割合で患者さんを診ているが、それでも楽しく出来ているのは、子供が好きで、点滴、採血が好きだからかもしれない。
小児外科って何ができるの?意外に何でもします。大人の胃全摘の手術も経験もありますよ。総合病院時代は忘年会の司会なんかも着ぐるみ着てやってました。
どうぞよろしくお願いします。
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