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健診での様子見は要注意

  • 執筆者の写真: Shinichi Shimadera
    Shinichi Shimadera
  • 2024年6月30日
  • 読了時間: 2分

市の乳幼児健診に関わるようになって数年経つ。保健センターで出会う患者さんの中で、ようやく3割程度の方がかかりつけ患者さんになって来たが、まだ3割かと思えばまだまだこれからである。


その中で時々異常を指摘して紹介状を作成することがあるが、中には「うちの子大きな病気ですか?前回は様子を見ましょうと言われましたが」と申し出る親御さんがおられる。その真意が分からないが、どうやら今回も「様子を見ましょう」と言って欲しかったように感じることがある。何故だろう、健診を担当することになった当初はこんな悩みが多かった。


しかし、「様子を見ましょう」は過去に一度医師の目に止まるような症状、所見があったということで、イエローサインなのである。そして次に私が指摘をさせて頂いたということは、それはレッドサインということである。


ところで、この「様子を見ましょう」は一体誰が様子を見るのでしょうか?指摘した医師でしょうか、かかりつけ医でしょうか、それとも親御さんでしょうか。医療者ではない親御さんに様子観察を任せるのは、正直言って私は無責任だと思う。かかりつけ医に任せるならやはり紹介状を書いた方がいい。そう思って「かかりつけ医はどちらですか?」と聞くと、「耳鼻科です」と答える方が一定数おられるのも事実である。そうなると小児科専門的なことはやはり専門医への紹介状となってしまう。


少し発達が遅い、他の子よりもゆっくり、あるいは太り過ぎ、頭が大きい、歩くのが遅い、など個性がそれぞれ違うように発達の速さもそれぞれ違って当然である。なので全ての方が違う答えをもらって当然である。そこでどこかで線を引いて、これ以上は正常とは言い切れない、何か病気が潜んでいるかもしれないとピンときた時に様子見を含めて私は医療者の責任として紹介状を書いている。それは同じ目線で医療者に繋ぎたいという意味で、決して病気が確定という意味ではないことをご理解いただきたい。


健診で会う患者さんの7割はもう会えないかも知れない、まさに一期一会。大学病院時代は私が見逃したらこの子は手遅れだった、そんな背水の陣を感じたこともある。健診の場は事なかれ主義では困る。そんなふうに私は考えています。

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